栗山千明さん出演のホラー映画『死国』が最悪だという話を事実陳列罪

映画
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この記事には栗山千明さん出演のホラー映画『死国』のネタバレと悪口が大量に書かれています。ご注意とご理解いただいた上で閲覧していただくようお願いいたします。

ちなみに、この感想文は映画『死国』へのもので、小説版は含まれていません。
小説版は冒頭の10ページくらいで寝落ちしてから読んでません!

『死国』との出会い

映画『死国』は1999年に公開された映画で、当時私は9歳でした。そしてこの映画の存在も知りませんでした。『リング2』との同時上映だそうです。

私がこの映画を知ったのは、2014年頃だったかと思います。
暇つぶしでTSUTAYAでホラーの映画のDVDを借りて自宅で見ていた際に、ほかのホラー作品の冒頭に入っていた1分ほどの紹介映像が初見でした。

レンタルビデオ冒頭の紹介映像は最高

紹介映像は一目惚れするくらいの気になる要素の欲張りセットで、とにかく「次回絶対借りるわ!」と思ったほどでした。

『お遍路』を題材にしたという点で、土着・宗教・オカルト・過酷・執念という様々な情報が含まれているため、ホラー好きにとってキュンなのです。

『お遍路』は四国の外周をぐるっと囲むようなかんじで点在しているお寺88ヵ所で御朱印をもらって回るスタンプラリーみたいなものです。

歩き遍路の場合、早い人で30日、遅い人で60日、一般的な日数の目安は、大体40〜50日となります。

(お遍路に必要な日数と費用について|お遍路図より)

そんな過酷な歩き遍路を逆順に行うことを「逆打ち(さかうち)」と呼び、

逆打ち――それは、死者を蘇らせる禁断の儀式。(キャッチコピー)

お遍路経験者に聞いたところ、順路通りに道路が整備されているので、逆に回るのは道路状況と肉体的に通常のお遍路よりキツいそうで、それを何度も繰り返す儀式…。
ホラーのハートがキュンキュンしまくりです。

そして、極めつけはお遍路で集めた大量の御朱印が貼られた不気味な和室の映像と、「浮浪者じゃん!」という風貌の老婆というインパクトのある映像。

過酷なことを何度も何度も繰り返し異様となった和室、過酷な旅を何度も何度も繰り返しただろう不気味な老婆の執念が感じられる最高のシーンだった。

こんなに美味しい食材(ホラー要素)を使用して作った料理(映像作品)が、美味しくないわけない(面白くないわけない)!

と、当時は思ったものです。

しかし、借りようと思って当時の近所TSUTAYAに行っても扱っておらず、「あんなに名作(っぽい)のになんで扱ってないんだろう~」とは思いながらも日々に流されて存在を忘れていました。

近所TSUTAYAに置いてないから配信サイトで

そして2018年ころ、Amazon prime会員となった私は無料で見れるホラー映画をいろいろ見ていたところ偶然に『死国』がおすすめされ再会することに。

『Prime』マークがついてないのでフリーでは見れない、数百円で視聴可能とのことだった。

「こんな名作(っぽい)のに夏も『Prime』マーク解禁されてないんだな。」と思いました。

夏というとホラー!という感じで『リング』や『らせん』は水色の『Prime』マークが表示され、会員であればフリーで見れるのですが、こと『死国』は常に有料。

しかし、気になっていた当時の気持ちがよみがえり即購入。(今は見れるかどうかわかりません!)

ホラー要素どこ?

初めて見た感想は「ホラー要素どこだよ!怖くねぇよ!!」でした。

あの不気味な和室、不気味な老婆が一瞬しか映らない!!!
その代わりに映されるのは、久々に再会した同級生カップルのイチャイチャイチャイチャイチャイチャ!!!

何を見せられてるんだよ!
老婆を出せ老婆を!!!

同級生カップルの思い出語りやイチャイチャ探索パートが長く、ホラーシーンはサブリミナル効果狙ってるのかと思うほど短く感じた。

同級生カップルが裸で布団で寝てるシーンはいらん!!!
遍路で疲れて泥のように寝ている老婆のシーンを入れろよ!!!

死国(映画)の実態(AI生成)

イチャイチャシーンが多く、その怒りで薄味ホラーシーンが無味に感じる事態に。

こんなに良い設定もってして、なにやってくれてんの?
もう一生遍路題材にするんじゃねーぞ!!!と。

友人にこの愚痴を話したいにしても、このそもそも映画を知っている人がほとんどおらずモヤモヤイライラ。

勧めようにも、自分が面白いと思わない映画だし…。

そういえば、近所のTSUTAYAには取り扱いがなかったな…理由がわかったよ!やっとな!(憤怒)

とにかく怒りが収まりません。
怒りでラストどうなったのか覚えてないほど。

落ち着いて再度視聴してみる

「ホラーじゃないじゃないか!」という怒りであらすじもラストシーンも覚えていないので、落ち着いて再度視聴してみることに。

幸いなことに現在住居の近所のTSUTAYAに『死国』の取り扱いがあったのでそれをレンタルすることにしました。

あらすじ

ざっくりで、悪意のある解説になるかと思いますがあらすじを書いていきます。

  • 回想パート
  • 上陸パート
  • 探索パート
  • 蘇生パート

回想パート

主人公は20代後半?30代?の女性ですが、四国の村にいた小学生の頃の回想シーンから始まります。

修験者が森の中を行き来している映像、降霊術のようなこと行われている場にいる女の子おかっぱ頭の女の子などの映像が差し込まれ、オカルト的な土着文化のある雰囲気を醸し出す。

おかっぱの子がイタコ稼業をやっているシーン(それがのちに紹介する莎代里である)

タイトル 『死国 -しこく-』
ここまではいいぞ。

女子二人が仲良さそうに縁側の板を1枚めくり、その裏に「ふみや」と書きそれをまた縁側に戻しクスクス笑い合うというシーンがある。二人の女子はこの「ふみや」が好きなんだということがわかるシーンである。

小学生の男1人、女子2人の仲良し3人組がキャッキャと遊んでいるシーンに移り変わる。
のちのメインの登場人物の「比奈子」「莎代里」「文也」である。

莎代里「こんな村早く出て、東京でいろんなことがしたい!」と強い口調で喋る。この村があまり好きではないようだ。

そんな莎代里を、莎代里のお父さんらしき人が「帰るぞ」と声をかける。嫌がる莎代里を強制連行する莎代里父。

莎代里の忘れていったランドセルを届けるため、莎代里宅に行く。かなりの和風豪邸。
比奈子はそこで莎代里と莎代里母が降霊術のような怪しい儀式をやっているシーンを見てしまう。比奈子はそそくさと帰るも、莎代里に儀式を覗いていたことがバレてしまう。
莎代里は比奈子に対して「文也君には見たこと絶対に言わないでね」と強い口調で言う。

シーンは変わって川で流されている比奈子、慌てる文也は助けを呼びに大人を探しにいく。
文也がおじさんを連れてくると、比奈子は莎代里によって助けられている。
パニックになった比奈子は莎代里にしがみついているのであった。

両親の都合か何かで東京へ行くことになる比奈子、最後の別れに文也と莎代里は送り出す。
比奈子と莎代里はお揃いのキーホルダーを交換する。サッカーのユニフォーム交換みたいに。
タクシーに乗ってどんどん離れていく比奈子に必死に手をふる文也、そしてその姿を見つめる莎代里。

相関図は大体こんな感じで、今後もだいたいこんな感じです。

死国相関図簡易版

上陸パート

東京に行った比奈子が家族の事情で出身地の高知県へ向かい到着までのパート。

ど田舎ですと言わんばかりの1車輌の電車に乗り、その後にぐねぐね峠道をバスに乗っていかなければいけないという立地。

大人となり、東京風を吹かしながら帰郷する比奈子の携帯(ガラケー)に着信がある。
バス内なのに痴話喧嘩のような会話をする比奈子。東京での生活に疲れちゃってしまっている演出、その会話の途中で携帯に表示される”圏外”でさらにど田舎演出していく。

実家付近に到着するとご近所の方と挨拶を交わす。「綺麗になったね~!」
挨拶もそこそこに早速家に行くのか?どうするのかという話になる。
来ると聞いて布団を干しておいてくれたりしてたというご近所の方。
優しすぎる。今は失われつつある美しきご近所づきあいの姿。

実家に戻ると「こんなに小さかったんだ」と感想をこぼす。
人影が見えるのか、不穏なBGMと共に草ボーボーの庭にフォーカス。
私はここの人影?は全然見えない。なんのシーンって感じ。

実家の中へ入り、戸を開け日光を入れる。
ここはホラー映画あるあるの、ホラーでもないシーンのアングルがホラーという感じで好き。
なんか出そうな画角なのに、主人公の比奈子が戸を開け日光を入れ、久しぶりの実家を懐かしむシーン。ここはちゃんとホラー映画やろうとしてる(笑)。

そして、何かを思い出したかのように縁側の板をめくり「ふみや」と書かれていることを確認して思い出しBGM。
ここらへんのシーンでは懐かしい・思い出のような感情を演出するBGMが何度か流れるのですが、短い時間の連打でギャグみに見えて「またかーい!」とデカい独り言を言ってしまいそうになる。

莎代里の家に行く。冒頭のイタコ儀式をやっていたあの豪邸だ。
人影がある。不穏なBGM。ただここでは比奈子は怖がるというより、「人いるのに無視されていて謎」というような疑問の表情である。

商店街を歩いていると同級生のゆかりちゃんに会う。
雑談しながら手伝いをする比奈子。そして莎代里の話題を出すと、ここで莎代里はすでに亡くなっていて、川で溺れたことが原因だと聞かされる。

神社?お寺?のお祭りのシーンに移る。
祭りに行ってみるとシャカシャカ働く同級生ゆかりちゃん。
ここで祭の手伝いをする文也に再会する。
ハッピ着て地味な恰好も相まって、ドラマチックな再会BGMにしては芋出てきたなっていう印象。

ここで川へ行って思い出話をするシーンに移る。
莎代里が川で溺れた話をする、自分も川でおぼれたとき怖かったから、莎代里も怖かっただろうと心境を語る。

文也は莎代里の母が、莎代里の死後、毎年遍路に行っていると話し出す。
莎代里の父は事故でずっと入院していると聞かされる。崖から落ちたらしいと。

文也はここで話を切り替え、近況雑談する。
比奈子は東京でデザイナー、文也は大阪でサラリーマンしていたが、最近戻ってきて役場で働いているという。

そういえばと比奈子が思い出し、「莎代里の家に人影があった」というが、莎代里の母は遍路、父は入院で誰もいないはずと告げられる。

ここで不穏なBGMと共に、莎代里の母(ボロボロの老婆)のお遍路シーンとなる。
長く険しい石階段を杖を突きながら登る、お経を唱える、御朱印をもらう…。
不気味なBGMとは裏腹、御朱印もらう時の信心深そうな顔がすごく良い。

シーンは切り替わり、警察官と文也が地蔵の首がもがれる悪戯を発見、祭で浮かれた奴のせいだと断定するも、気味悪いねと。
そしてその付近に破壊された木製の柵。その先は谷だと。
「そこに入ったことあるかと?入ると祟りがあるらしい」と警察官は文也に伝える。
文也は役場に戻りその谷の話をすると、酒井爺さんは「谷のことは放っておけ、谷の神がなんとかする」という。
そして酒井さんは「あそこに行くのは日浦家だけ」ともいう。
※日浦は莎代里の苗字

比奈子宅で、文也と思い出話をする。
そこで莎代里の学生時代の写真を見る二人。
莎代里母は高校反対していたが、父は応援してたというエピソードも聞く。
比奈子は「莎代里は文也が好きだった」と伝えると「付き合ってたよ」と文也は言う。
なぜか謝る比奈子。そして背後を気にする文也。気まずくなって文也は役場に戻る。

比奈子は自宅で寝てると、莎代里らしき霊が枕元に。
あれ?夢か?という感じで起きるも、布団の傍にはとんでもない力で握り潰された、あのお揃いのキーホルダーさん。

探索パート

ここでは、昨晩見た莎代里の夢を見たことによって比奈子が探りを入れ始める。

文也が地蔵の近くの柵が壊れているのでタイガーロープでも張ろうかというところに比奈子が現れる。(役場の人に文也の場所を聞いたら近くまで送ってくれるの優しい地域性)

そして、「あ、なに?」とかなりの塩対応をする文也。ここらへんからサイコ味ちょっと出てる。
ロープ張り作業をし始める文也に、比奈子昨晩見た莎代里らしき女の子の霊の話を話しだす。

「変なこと言うな」といい背中で話を聞きながら適当にあしらう文也に「なにかおかしいと思わない?」と話しかけ続ける比奈子。
怖い話が苦手なのか、作業の邪魔なのか、かなりの塩対応。

しかし、文也は重たい口を開く。
文也「莎代里は川じゃなくて、悪霊が原因で死んだのではないか」という噂を話す。
壊れた柵の中に突然侵入する文也、「日浦の家と関係ある場所」と言う。
そして、文也は「昨日自分も莎代里を見た」と白状する。

柵の奥へ進んでいく文也と比奈子。
奥には変な沼があった。不気味な空気にすぐに帰りたがる比奈子。

シーンは切り替わり、サッカーで遊んでる男の子が、おじいちゃんの霊を見る。
しかし、それを母に伝えても信じてもらえない。

比奈子が莎代里父をお見舞いに行く。
看護師さんは、ずっと植物状態でしゃべることもできないと告げる。
天井を気にするもそそくさと病室をあとにする看護師さん。

比奈子も天井を見てみる。
天井に16に見える黒いシミ。これはあまりにもハッキリ見えるのでちょっとギャグだろと。
海外で流行りの67のミームのようにとりあえず意味わからんけど面白い数字として日本ではぜひ16を推してほしい。※114514、1919、810が強すぎて太刀打ちできない。

そしてまたシーンは変わり莎代里母(ボロボロの老婆)のお遍路シーンへ。
ドーンと不気味なBGMとともに地蔵がたくさんある不気味な道を進んだり、石に息を吹きかけたり、お経らしきものを唱えたり、石を保管したりと、汗だくになりながら淡々とこなしていく。
他の登場人物の服装から見て、秋冬の時期の話であることはわかるが、その中で汗だくの老婆は過酷な遍路を行っていると思うとかなり執念を感じる。

シーンは切り替わり、同級生のゆかりちゃんの車でお話し。
お見舞いに行って莎代里父の状態についてなど話す。
ゆかりちゃんは、「日浦に関わるな村の人間じゃないだろ。あと文也に会いすぎる。ここは東京と違うし。」と釘を刺す。
ゆかりちゃんはそういえばと話を変えると、「比奈子が東京に行ったこと莎代里が怒ってた。生意気だと言って比奈子の手紙も燃やしてた。東京に行って先を越されて恨んでいたのでは」など言う。そして、「莎代里は孤立してるし、子分欲しかったのでは?比奈子が金魚のフンみたいだったのにね」と言うと車内の空気が悪くなる。

かなりショックを受けた比奈子は涙目で文也の家に行く。
「私嫌われてたのかな?来ない方が良かったのかな。」と言い始める。
文也は「そんなことないし、比奈子と一緒にいると安心する。こんな気持ち初めてだ。」と言い始める。

ここらへんから嫌な予感がし始めるでしょう。

シーンは夜に。
役場の酒井の爺さんがライターだけもってあの首無し地蔵を見に行く。やっぱ好きなんすねぇ。
木陰から幽霊っぽいの見てえびびり散らかして帰る。
翌朝、なぜか体調を崩して救急車で運ばれるシーン。
文也に何か言おうとするも力尽きる。

シーンは比奈子の家。
石を投げられ、窓ガラスは割れる。
近所のランドセル背負った男児が「おばちゃんがいるとお化けが出るから東京に帰れ」と言い走り去っていく。

文也は学者らしき人と首無し地蔵を確認に来る。
沼の場所にも行く。今回は長靴と懐中電灯を装備して準備万端。
学者らしき人物は「黄泉の国って知ってる?大昔はここら辺もそういわれてた。」なんて会話を交わす。
さらに奥へ進むと、「大量の石や木の棒などから誰かが来ている?」と疑う学者らしき人。

文也はその学者に「日浦って人わかる?」と聞くと学者風は民俗学の人でそんな人がいたようなと言う。

その後、文也が民俗学の本を漁ると、そこには莎代里父の名前が。ソッコーで比奈子に電話をかける文也。

公園らしきところで、比奈子と文也は話す。
「莎代里父によると、お遍路っていうのは、88ヵ所の寺を回る。四国外周を回ることで結界を張る効果があるのではないか?」と。
それに対して比奈子は「莎代里母はお遍路行ってるけど何か関係あるのかな?」と尋ねる。
また、谷の沼に木の棒が15本あったこと、病院の天井には16と浮かび上がったことなど考察を交わす。
そこで文也は落ちていた枝で地面に「死国」と書き始める。タイトル回収。
文也「四国って死国ともいうよね。」
突然殴りつけられる小学生並みの考察に爆笑。

シーンは真っ暗な夜。
莎代里宅に訪れる文也と比奈子。やはり入れないので、裏口から入る。
懐中電灯も頼りないくらいの暗い暗い室内。
人形やぬいぐるみ、女児の服、女児の雑貨などが懐中電灯で照らされる。
大事そうにされたリボンのついた小箱からは、文也からの毎年の誕生日メッセージや文也の写真が見つかる。気まずそうにどこかへ行く文也。
文也は書斎のような場所を物色し、研究ノート的なものを発見する。

そして、一番の見どころ。
和室一面に張り巡らされた遍路の御朱印。
ホラーの使い古された手法の「お札がびっしり」を、独自解釈し死国が私のハートを掴んだあの名シーンです。

御朱印が貼られた部屋(AI生成)

※これはAIによるイメージ画像です。

御朱印がびっしり貼られた襖が15枚。この文字を書くだけでもキュンとする。
ホラーってね。恋なんですよ。
今、この瞬間もキュンとするくらい、切ない恋でした。
ここのシーンは本当に大好きで今も心が締め付けられます。

そしてその不気味な部屋には学生時代の莎代里の写真も飾られている。
何に使われたかわからない縄も照らされる。

その不気味な空気に莎代里宅を出ようとする文也と比奈子。
そうすると1枚の襖が倒れビビり散らかす。
襖を直しがてらよく見て見ると、御朱印が88番目から順に貼られていることに気づく。
「逆回り?」とつぶやくと、部屋全体がきしみ、貼られた御朱印はざわざわとし始める。

そして、二人は莎代里宅を後にする。

帰り道で、莎代里の大事にしてた小箱に入っていた学生時代の写真を渡そうとする比奈子。
ここで文也の自分語りが始まる。
「莎代里はめちゃくちゃ愛してくれてた。生きてる時も死んだ後も。その呪縛からは逃れられない。他の誰と付き合っても比べてしまう。いや、比べられない。」
頭痛が痛いそのセリフにその場を後にしようとする比奈子を抱き寄せ、
「でも、比奈子なら忘れられる。」といいキスをする。
夏井先生に叱られてほしい。「過去のことは忘れたから比奈子が好きですで伝わります。」と。

ジェネリック夏井(AI生成)

帰宅後ベッドシーンとなる。
感動的なシーンになるとよく使われるBGMが流れるので、ここもギャグ味が強い。
そして思ったより長い。
夏井先生に叱られてほしい。「二人の素足と乱れた布団だけでも伝わります。」と。

初めてこのシーンを見たときは「は?」と共に現実逃避で「たまには畳と布団の環境でヤるのもオツかもね。」とか思いながらボーっとしてた。

大好きな不気味な莎代里宅のシーンで「やっとホラー展開に!?」とワクワクしていた私を、無駄に長いラブシーンでぶっ叩いてきたのだ。脳震盪ですよ!!!
吊り橋効果に使われた莎代里宅が不憫すぎる。心霊スポット扱いすんなと。

さて、あらすじの続きを。

事後。
莎代里宅からパクってきた研究ノート的なやつを読む文也。
そこに寄りそう莎代里の霊、お茶を運できた比奈子はそれに気づくと恐怖で動けなくなる。
動けない比奈子にまとわりつく手や顔。
ビックリして文也に駆け寄ると、しゃがみ込む学生時代の莎代里の姿が見える。

比奈子は「あの顔知ってる。。。」と、川で溺れた時に、莎代里に顔を何度も水の中へ沈められる過去を回想する。
トラウマが蘇り「離して、離して」と何度も言いながらパニックになる比奈子。
比奈子を何度か呼ぶもパニックがおさまらないので、結構早めにビンタ食らわす文也。
比奈子は私が儀式を見たのが悪かった、だから恨まれていたと懺悔のようなことを言いながら文也にすがる。

私はここを屈指のヒトコワシーンだと思います。
さっきまで一発ヤってた女をビンタ。もっと強く体を揺さぶる、もっと大きな声で名前を呼ぶより、優先度が高いビンタ。かなり恐怖を感じます。

シーンは変わって学者風の人と会話シーンに。
谷の沼の昔の資料的なものを見ながら、「こっちに回ると封印の儀式が」などと会話をしている。
「もし逆に回ったら?」と文也が尋ねると「封印が解けるってこと?まぁまぁ、古来の風習だからさ」と学者風。
比奈子「そういえば莎代里母ってお遍路逆に回ってたわよね。」
文也「死んだ人間を見たんですよ。」
学者風「ええかげんにしいや!」
追い出されてしまう二人。

そして突然のタイミングで、文也は財布から莎代里の写真を出し比奈子に見せ「もう莎代里のことは気にしてない」と写真を握りつぶす。←この伏線は後で回収されてかなり恐怖です。(ヒトコワ)

学者風宅を後にしようとした二人を、学者風が呼び止める。
「この人に会ってみなさい。修験者の方だ。」
文也はこの方は何されてる方なの?と言うと、学者風は「四国に結界を張る活動をしている。」という。

蘇生パート

お遍路をする老婆(AI生成)

やっとここまできました。最終パートです。

莎代里父の病室に莎代里母(ボロボロの老婆)が。
「すべて成し遂げて、もうじきあの子は帰ってくる。もう邪魔しても無駄や。私はあんたに勝った。」と植物状態の莎代里父へ語り掛ける。
すると、莎代里父の手が天井を指す。16は真っ黒なシミでおおわれてしまっている。
それを見た莎代里母は不気味にケタケタ笑うのであった。

シーンは森の中の岩場のような場所に。
なにか呪文のようなものを唱えている例の修験者と会う。
修験者は「逆回りは逆打ちと呼び、結界を破り、死んだ者の歳の数だけ逆に回る。強い未練があるとこの世に残ってしまうが、逆打ちによってそれが騒いでいる。黄泉の国の門が開いてしまったら肉体をもって死者が帰ってきてしまう。16歳の娘さんだと言ったね?そしてお母さんは16回目の遍路をしていると。その行いをこれ以上させないようにせねばいかん。」という。
帰り道、文也と比奈子は「修験者の話マジ?」「ありえん、ありえん。」みたいな会話を交わす。そう疑って聞きに行ったんじゃないのかと。

シーンは急展開。
莎代里宅に帰った莎代里母は何かを始めようとし始める。
その間、病院の莎代里父は体調が急変。
1本の岩がそびえる谷の沼を幣(ぬさ)を振りながら岩の周りを回る莎代里母。
呪文を唱えながら何かの準備をする修験者。

そのころ谷の沼では莎代里母が集めた大量の石で遍路の杖(木の棒)を立てて並べる。
それが終わると莎代里母は沼に向かって何か呪文を唱え始める。
沼がごぼごぼと音を立てて溢れてくると、人の手が浮かび上がる。
老婆が感嘆し抱き上げると、莎代里の肉体が浮かび上がる。
莎代里母は愛でるように体を拭きながら莎代里に話しかける。
「あなたは大事な跡取りだから、あなたが帰ってくるためならどんな苦労もいとわない。お父さんが邪魔してきたから崖から突き落とした。」ここで父の入院の原因の衝撃事実が語られるのだった。

そして莎代里宅、あの和室に戻り何やら儀式をしている。
太鼓をたたきながら全身を振り乱しながら何かを唱えている。
この莎代里母が憑りつかれたように儀式するところも短いけど見事で大好きなシーン。
古い言い伝えで噂のような儀式をガチで信じて全力でやってるヤバさが素晴らしい。

そして、儀式により意識を取り戻した莎代里は「文也に会いたい、文也に会いたい」とうわごとのように繰り返す。
莎代里母は莎代里を抱き寄せ「文也に会わせる!二人でこの家を継いで女の子を産みなさい!お母さんを安心させてね!」となんとも嬉しそうに、確定事項のように言い始める。
この毒親具合もめちゃくちゃいいシーン。
莎代里母もあの頃から時が止まって取り残されてしまっている。

莎代里は「家は継ぎたくない。文也に会いたい」と母に伝えながら抱きしめ返すと、何故かゴリュキと背骨を折ってしまう。そしてその場に倒れて動かなくなる莎代里母。何が起こったかわからない様子の莎代里。

背骨を破壊される老婆(AI生成)

しばらくして莎代里宅まで来た文也と比奈子。
まだ莎代里母は帰ってきてなさそうだからと谷の沼の方を見に行く文也。
比奈子は莎代里宅前で待機。
ふと、莎代里宅を見ると灯りがついたのを見つける比奈子。
比奈子が莎代里宅に入ると実体のある状態の莎代里と出くわす。
ビックリして外に駆け出し、谷の沼まで文也を追いかけ「莎代里がいた!」と報告。
しかし後ろにはすでに莎代里がいる。

莎代里は「文也くん、会いたかった。あの頃のままで戻って来たよ。」と告げる。
思った反応をしない文也。莎代里は続けて「比奈子はそれで文也を手に入れたつもり?文也に同情されているだけ。愚図でのろまな比奈子、一人じゃ何もできない。」
比奈子は「そういうところが文也をずっと苦しめてた、あなたは死んだの」と伝える。
莎代里は「死んだら、文也を好きな気持ちも死ななければいけないのか?」と問いかける。
続けて、「二人で村を出て行こう。比奈子は置いて行こう」と提案もする。
文也は「できん。」と一言。

ここで文也は別れを告げるためかわからんけど、莎代里に近づいていく。
そして何故か莎代里とのキスシーンとなる。
そして強く抱きしめあうのだった。
またここでおなじみの感動系BGMが流れる。しつこい系のギャグが好きな人にはたまらない抱腹絶倒シーン。
ここでさらに、追い打ちをかけるように文也の背骨をゴリュキとへし折る。さすが成人男性、莎代里とは違いしばらくは苦悶の表情で耐えるも、たまらず倒れ込む。

なぜ文也が倒れてしまったか解らず慟哭する莎代里。
こっちも同じ気持ちである。

そこへ修験者が登場する。
莎代里を元の世界に返そうと近づいてくる修験者。
莎代里は「なんで自分だけが大人になれなかったのか、大人になって色々楽しみたかった」と比奈子へ語り掛ける。
比奈子は何も言えず見つめている。
錫杖のようなもので修験者が莎代里を一突きし気絶させる。(ここでも物理攻撃)
肉体が蘇生した奥の沼に莎代里を放り込む修験者。もがき助けを求める莎代里。
そこへ文也が現れ、莎代里と共に沈んでいく。
修験者はすかさず、周りにある莎代里母が集めた石を蘇生沼の中に落としていく。

比奈子は「やめて!」と絶叫するも修験者はやめない。
そして絶望のような顔で沼を見つめる比奈子。

事後(封印後)

修験者は「きっと、ちゃんと天へと上るはずだ。あんたは生きなさい。」と比奈子に伝える。

山を見つめ、手を合わせる比奈子。

とても美しいエンディング曲が流れ終了。

文也と莎代里母が表向き行方不明な状態で比奈子が今後どう生きていくのか気がかりでたまらない。これはもしかしてホラー演出?

もっとホラーにするためにこうして欲しかった

あらすじはかなりホラー長めに書いてますが、私がホラーが好きだから詳細に書いてるだけで、ホラーシーンはマジで少ないです。ホラー苦手な方も見れるんじゃないでしょうか。

しかしながら、ホラー要素が薄い薄い!と文句を言うだけではいけないので、もっと後味悪くホラーにするためにはどうしたらいいか考えてみた。

  • 死因は物理技じゃなくて特殊技にするべき。
  • スーパーサイコ文也を活かす
  • 投げっぱなしの噂の回収を丁寧にする
  • 村のイヤ〜なところをキツくする
  • 莎代里の両親の確執をもっとエグくする
  • 比奈子と莎代里の共依存感で胸糞悪くする

死因は物理技じゃなくて特殊技にするべき。

正統派Jホラーの顔して、背骨を折るシーンはマジで意味不明。
表現は雑でもいいから、キーンて音がして顔の色が悪くなっていって突然バタリと倒れるとか、サイコキネシス的なものの方が合うのではないかと。

ここが最終局面をかなりギャグで急ぎ足にしてる感出しているのがかなり残念。
ラブシーンでかなり恐怖のボルテージが下がっていて、冷めた気持ちで見ている中で見せられるベアハッグ(背骨折り)は失恋の瞬間。カエル化現象。
この映画嫌いだわ。とこの瞬間に全身を嫌悪が駆け巡ったのを今でも覚えてる。
当時一人暮らししていたワンルームの内装と、映し出される画面すらも思い出すレベルで頭の中は『????』となった。

最後に文也が一緒に沼に沈んで死を選ぶシーンも、背骨ゴリュキの音とともに沈んでいく。
悲恋とかもテーマにしてるのに、好きだった男性と沼に沈むのに背骨折るってムードもへったくれもなくて、恋愛シーンとしてもダメなんよ。
映画としての退場方法としていろんな手法が考えられるはずなのに、何故背骨を折る選択肢を選んだのか今でもわからん。
抱きしめあってたらどんどん顔色が悪くなるでええやん。

スーパーサイコ文也を活かす

同級生が亡くなったショック、莎代里との恋を引きずりながらも、前を向いて行こうとするちょっと照れ屋で純朴なイメージの男性という感じだ。

莎代里に対しての未練があまり感じられないのもサイコに見える点。若くして同級生がなくなったショックと半々くらいで恋愛的にかなり未練があるようには見えない。
作中では「川でおぼれたんじゃなくて悪霊に取りつかれて死んだって噂あるんだよね」とか言って触れにくいくらいの距離感でいる点も未練を感じにくい。
比奈子に「やっぱり莎代里ちゃんのこと忘れられないんだね」って言われるくらい、何度も写真見返したりとかしないと。

未練があまり感じられないから、比奈子に寝返ったのに死者蘇生後は一緒に沼に沈んで死ぬことを選んだりするシーンは何故?としか思えない。

中学の時に付き合ってて初体験の相手で忘れられなかった、あの頃のまま出現したからそっちを選んだとかそういう下品な想像しかできない。

一応、比奈子とのキスシーンのあとに「比奈子といると落ち着く、莎代里のこと忘れられそう」と言っているが、そのあとベッドシーンがあるから脳が海綿体になって言ってしまった可能性もあるから未練に思えない。

さらに、本編にもちゃんとサイコなところは描かれている。

一回ヤっただけの比奈子が過去の怖いシーン(莎代里に川に沈められる)をフラッシュバックして過呼吸のようになっている時にビンタを喰らわす。
一回ヤっただけなのにもう自分の所有物のように扱っているのか?
肩を強く揺すって、それでも過呼吸が治らずビンタならわかるが、ちょっと声をかけて正気に戻らないのでビンタするこのスピーディサイコビンタ。

「もう莎代里のことは忘れた、気にしてない」と比奈子に言ったにも関わらず、ラストシーンでは莎代里と一緒に死ぬことを選んでいる。
そのため、最後は比奈子と莎代里が「文也」を取り合い喧嘩のようになり、なんだかんだで沼へ沈んで亡くなり、文也だけが生き残るという結末にした方がいいのではないか?

そして冒頭で出演していた同級生のゆかりに寂しい悲しいと相談しているうちに、同級生のゆかりとデキるエンド。
文也に関わった女性は必ず不幸になり、最後にまた新たに不幸になる女性が映し出されるという流れだ。

文也の役者の筒井道隆氏は男前だが、着ている地味なセーターと作業着とかもあいまって「ぬぼ〜」って感じなのでサイコ感あって似合ってると思う。仮に比奈子と莎代里の喧嘩のシーンの時に他人事のように「ぬぼ〜」っと見ていたらよりサイコでGOODだと私は思うのでぜひやって欲しい。

投げっぱなしの噂の回収を丁寧にする

実は投げっぱなしな部分があって、上陸パートの際に同級生のゆかりから「莎代里は川の事故で溺れて亡くなった」と比奈子は聞かされる。

しかし、探索パート中に文也に「莎代里ちゃんは川で溺れたんじゃなくて、悪霊に取り憑かれて死んだっていう噂があるんだよね」と聞かされる。

そしてこの噂は噂のまま終わってしまう。
馬鹿なの?

「噂」って言ったらそれは真実と受け取れって?視聴者に投げっぱなしもいいところ。
16という若さで亡くなったという無念が、ここを投げっぱなしにすることで薄くて薄くて「霊となった今でも恨んでいる、その恨みに苦しんでいる」という恐怖のトッピング部分が死んでる。

悪霊に取り憑かれる原因は回想シーンであった母とのイタコ家業の最中だろうから、そのイタコ失敗のシーンを本編に差し込んで欲しい。失敗して苦しむシーンも必要だと思う。

もしくは、蘇生パートで蘇生した莎代里が「文也に会いたい」と言っていたが、そのシーンで「お母さん、なんであんなことしたの?」と、「あ、やっぱり儀式で悪霊に取り憑かれたって噂は本当だったんだね」と思うようなシーンを入れて欲しい。

莎代里母(不気味な老婆)も「あの時はごめんね〜」とかいうセリフがない。せめてここで一言あれば一応噂回収はできたはず。自分のやったことを悪いと思っていない莎代里母の自分勝手さをリアルに表現したのかな〜?
※ただ、この死者蘇生すぐに「文也と結婚して女子を産め」と言っていて毒親具合がグロテスクでここはかなりホラーなので好きなシーン。やはり老婆が主役の映画だ。

また、同級生で一見仲が良さそうな比奈子と莎代里が実は仲が悪かった?比奈子は嫌われていた?という流れは本編中に散りばめられているが、莎代里が「グギギ!許さん!」みたいな顔を歪めているシーンがなくイマイチ怨念のような要素が感じにくい。

しまいにはラストシーンでは自分がこれ以上生きられないと悟った莎代里は比奈子に「一緒に生きたかった」と微笑みながら言うシーンになる。微笑んで良い話に持っていこうとするんじゃねーよ。

仮に「悪霊に取り憑かれて死んだ」と言う噂が本当だとしたら(噂の回収をしてないので、このレビューではあくまで噂として扱う)、「なぜ自分だけがこんな死に方をしなければいけないの?」「イタコ稼業を強制させる母が憎い」「比奈子だけ東京行って憎い」「自分だけ死んで比奈子だけ生きてて憎い」「比奈子が文也とイチャイチャしてて憎い」という感情がごちゃ混ぜになって、蘇生した時の第一声は文也をいくら好きでも「文也に会いたい」とはならないし、ラストに比奈子に向かって「一緒に生きたかった(微笑み)」ともならないはず。

母への恨みも全て比奈子に向けるくらいドロドロしていないとホラーにはならないのに、ある日突然存在が消えたかのようなスカスカな嫉妬しか持ってない美人な(役者:栗山千明氏)幽霊は全く怖くない。
美人なんだから、美人であることが恐怖になる演出をちゃんとしろ。

村のイヤ〜なところをキツくする

死国の舞台は高知県のとある村、冒頭の上陸パートでは1車両しかない電車に乗り、その後バスに乗り長い峠道を行く、比奈子はバス内で携帯の着信に気づき電話をし始めるが、電話の途中で圏外になる演出があるほど田舎の村である。

村というと閉鎖的で、外部からの接触を嫌うイメージが付き纏う。田舎に行けば行くほど文化がカルト化しているという固定概念をもっと上手く使って欲しい。もっと強めに演出して欲しい。

ホラーでは定番の、話が通じない・嫌味を言ってくるような、不親切な人物像があるがそういう人が全く出てこない。
こういった不親切な人が心霊現象の類に直接関係していなくとも、不気味な体験や不親切な小言でどんどん余裕をなくしていく過程で恐怖が蓄積されていったりするものです。

『仄暗い水の底から』という映画が良い例で、不親切な人物や不気味な事柄、はたまた仕事が上手くいかないなどの要素で主人公が余裕をなくして行き、離婚調停の親権の話が自分に不利になりそうになる不安が描かれており、霊だけでなく実生活のリアルにも精神が蝕まれている。そんな余裕の無い中で心霊現象まで起こるからタチが悪く救いがない。見ているこっちも余裕がなく、危険な目に合いそうな主人公の娘を見て気が気じゃないしハラハラする。

しかし、死国に出てくる人はなんか普通にいい人が多い。
撮影は実際に四国で行われているようで、撮影協力をしてくれている方々を悪く描きにくかったか?
それとも、四国は田舎ではあるが、お遍路で観光客がたくさん来るためそもそも閉鎖的ではなく、観光地のようなスタンスで本編の普通に親切な雰囲気がリアルに描いた結果なのか?

一応、村の閉鎖的なイメージを感じさせるシーンはある。

  • 同級生のゆかりに「もう村の人間じゃないから詮索するな」と言われる
  • 近所のクソガキに家に投石され「不気味な現象が起こるから東京帰れよ」と言われる

この村っぽさを出したシーンもなんかイマイチ胸糞悪くない。ホラーだったら胸糞悪くなるシーンが欲しいところだ。

「もう村の人間じゃないから詮索するな」と言われるシーン

同級生のゆかりと一緒に車に乗りおしゃべりをしているシーンで、「もう村の人間じゃないんだから詮索するな、文也とも会うな」ということを言われて比奈子が「面倒くさいんだね」と言うシーンがある。
ここに関しては、若干ツンケンな言い方はするものの、聞き方によってはゆかりなりの優しさとも取れる。

「あんまり詮索すると嫌われるよ、変な噂がたつよ」という忠告のようにも聞こえるため、イマイチ胸糞悪くない。

また、上陸パートでは村民がお祭りの準備をしているシーンがあるが、その時に東京風吹かせた身動きとりにくいお洒落な格好の比奈子(たぶん遍路客ではなさそう)がウロウロしているのにジロジロ見たりする村民の演出とかがない。

過度に歓迎をして「●●の嫁に来て」とかのウザさもなければ、全く歓迎されていない「知らない人が来ている(ジロジロ)」という雰囲気もない。どっちかの反応をもっとキツめに欲しいところだ。

家に投石され「不気味な現象が起こるから東京帰れよ」と言われるシーン

地蔵の首がもげていたり、役所のおじいさんの体調が悪くなったりと不気味なことが起こるなか、比奈子の家に石が投げられ窓ガラスが破られてしまう。比奈子が外を見ると、一人の少年が「おばちゃんが居るとお化けが出る!早く東京に帰れ!」と言うシーンがある。直近の出来事を東京からきた部外者のせいにする理不尽かつ村感のある演出だが、これももっと工夫できるはずと思う。

この少年は一人で来て真っ直ぐな表情で「東京に帰れ」と伝えてくる。勇気があり男前にも見えるシーンになっちゃってる。真っ直ぐな表情で「東京に帰れ」というもんだから、比奈子も何も言い返せずにいる。ぐうの音もでないというところか。

例えば、同年代の少年4、5人で来て「早く東京帰れババァ〜!ギャハハ〜〜!」と逃げていくというようなシーンであれば歓迎されていないこと、子供の残酷さもあいまって胸糞悪くなるかと思う。

このシーンは孤軍で来た男児が勇敢に見えてカッコいいので、この作中のアンバランス差も楽しんでほしい。(胸を張った立ち方も不思議とカッコいい)

莎代里の両親の確執をもっとエグくする

莎代里はイタコ稼業をつぐために高校に行くことすら許されないという家庭環境。
そんな莎代里を父は高校に行かせようとしていた。
そして、叶わずに16という若さで亡くなる。

作中ではイタコを継がせるのを邪魔をする父を、母が崖から突き落としたと語るシーンがあり、ヤバい家庭であることは明白なので、その中で起こるギトギト具合を活用していこうという方針。

母が無理やりイタコさせようとして、それを辞めさせるために夫婦喧嘩をしたりとかそういうシーンが無いように思う。

莎代里の家は豪邸で、イタコマネーで建てたと思うと、父の肩身が狭くパワーバランスはかなり偏っているのは想像に難くない。
作中冒頭では母の指令で莎代里を家に無理やり連れて帰るシーンもあるし、かなり父の威厳のない家庭であるように見える。(しかも連れ帰り方がかなり優しく諭す感じ)
そういう関係性でも、喧嘩をしない(できない)が、こっそり別居して高校に行かせて問題になるとか確執演出ができるかと思う。

植物状態になった父を老婆が笑うシーンがあるが、ここが胸糞悪い。
こういうシーンをもっと時系列にそって散りばめるとかやり方があるだろと。
そして、ここからも伝わる老婆の主役感。

比奈子と莎代里の共依存感で胸糞悪くする

子供のころは3人で遊ぶことが多く、いわば仲良し3人組。
その中で、比奈子と莎代里はどちらも文也が好きという三角関係でもある。
閉鎖的な村の中でいつも同じ友達としか遊ばない閉鎖的な交友関係。

川でおぼれた際、比奈子は莎代里にしがみつき「莎代里ずっとこうしてる!」と溺れた恐怖で混乱している様子。お揃いのキーホルダーも身に着けている。

女子特有の面倒くさい、一緒に居ないとなんか不安、裏切りは許されないというアレを活用していく方針。

作中では莎代里は、比奈子のことを金魚のフンみたいにずっとついてくると同級生のゆかりちゃんに愚痴っていたが、比奈子からはそれは感じない。

女子は成長も早くマセるのも早いんだから、比奈子も「私も昔はいけ好かないと思ってた」とか言ってもいいぐらい。

中盤で同級生のゆかりちゃんが、「莎代里は中学で浮いてる存在で孤立していた」という証言がある。こういった人物像からも比奈子とだけはよくつるんでた感が出ていい味出そうなところではある。

老婆が「比奈子ちゃん遊びに来たわよ~!」と子供のころみたいに家に招き入れたりしたらめっちゃホラーかもしれない。二人はニコイチだったわよねという圧で、関係性が薄くなっても仲良くしなさいみたいな周りのプレッシャーとかグロテスクだと思うんですよね。

引っ越してしまうし、比奈子の手紙は燃やされるわで物理的に関係性が無いのが残念なところ。

最大の悪は出来の良い紹介映像説

この記事の冒頭では「レンタルビデオ冒頭の紹介映像は最高!」と書いたようにホラーの要素と好奇心をそそる要点はしっかり押さえた映像だった。

紹介映像から受け取る印象

お遍路を順序を逆に回ると逆打ち(さかうち)、それを行うことで起こる死にまつわるお話。

和室に貼りめぐらされた遍路の御朱印、その御朱印を集めたであろう不気味な老婆…いったい何が起きるんだ?(ドキドキ)

映画の象徴的シーンから受け取る印象

久々に生まれ故郷に戻ったら同級生が亡くなっていた、普通に過ごしているだけなのに不気味なことがたくさん起こるな?なんだろう?死んだ同級生の母親が変なことしてるらしいって?

好きな人がいて、村を出ていろんなことがしたいという気持ちを残したまま16という若さで亡くなってしまった同級生が儀式で蘇えるが、修験者によって生き返るべきではないと再度沼へ沈められる。

しかし、最後は好きだった文也が一緒に死ぬことを選んでくれる。
二人の愛は尊いな。(完)

紹介映像と本編の乖離

もっと四国とお遍路の不気味な話を聞きたいのに、紹介映像を超えるホラーシーンが本編に出てこないという、ホラー映画としては怖がらせるという気が全くない映画で、ホラーを求めて見た私は憤怒。

喜んでいるのは栗山千明氏のファンぐらいだと思う。制服と白装束のシーンが観れるので、「栗山千明出てるんだ!見たい!」って思って見た人は満足する作品だと思う。

今回、この記事を書くにあたって3年越しに改めてU-NEXTで見たのですが(加入してればフリーで見れる)、「死国」のページにこんなことが書いてあった。

見どころ
夏川結衣の際立つ美しさにほれぼれ。劇場映画デビューとなった栗山千明は、筒井道隆とキスシーンを披露。中盤までは丁寧に進展し、後半に向けて恐怖のボルテージは急上昇。

(U-NEXT『死国』紹介ページの「見どころ」より)

キスシーンとかどうでもいいし、最後のその申し訳程度のホラー映画説明は何?
ホラー説明なさすぎない?ホラー映画じゃないのでは?

ここがポイント!
劇場公開時は「リング2」と併映された。

(U-NEXT『死国』紹介ページの「ここがポイント!」より)

ギャグセン高い。爆笑した。

ホラーというジャンルが詐欺

怖くないんだから、邦画ホラーではなく、邦画ドラマにしたらいいんじゃない?
映画『黄泉がえり』とかと一緒の並びにしたら良いのでは?と感じました。

意外と世間一般のレビューは高得点なのと、内容もわかりやすい方なので、あとはホラーであることを辞める勇気だけなのではないか?

同時上映の『リング2』は超能力爆発オチという人類には早すぎて視聴者全てを置き去りにする意味不明映画なので、その後に見る『死国』は大分わかりやすい内容のはず。
「あ、なんかいいもの見たな。栗山千明かわいいし!」となってもなんらおかしくないなと。

特に莎代里が「死んだら文也のことを好きな気持ちも死ななければいけないの?」と問いかけるシーンはすごく良いシーンだった。

比奈子と文也は20代後半となっているが、莎代里は16歳で時が止まっている。
死を受け入れられない、多感な時期のままで青臭いそのセリフがとても良いのだ。

ラストも莎代里が修験者の手によってあの世に返還される中、文也が一緒に死ぬことを選び沼に飛び込んだ。

もう、ホラーシーン削って、娘のために命をかけた母、ずっと忘れられなかった恋人と一緒に死ぬ彼氏という感動ものに振り切ってしまったほうがよかったのではないか?

比奈子も恨みがあったり、男女関係に嫉妬をしている感じでもなく、若くして亡くなったことや特殊な家庭環境を不憫に思うシーンの方が多いように感じるので、ホラーに振れる要素がかなり薄い。

感動ものの映画が好きな人からは、「こんなの感動しない!」とか言われるかもしれないが、
ホラー好きの私からしたら「こんなのホラーじゃねぇ!」と思うのでジャンル変えて欲しい。

「黄泉がえり」とかも、死者がよみがえる系映画だが、当時のレンタルビデオ屋では、たしかヒューマンドラマ棚に置いてあった記憶がある。

昔住んでた家の近所のTSUTAYAのホラー棚には置き場所がなくなっていたんだから、そういうことだ。

良いところ

お口直しに良いところも書いておきます。

御朱印で埋め尽くされた不気味な和室は圧巻。
アレに惚れてレンタルしたんですよ。

そして、莎代里が沼での儀式で肉体のみ死者蘇生し、その後老婆のイタコ儀式でもう一度意識が戻るところは、かなり丁寧だなと思いました。
ホラー演出がかなり少ないと感じる本作ですが、『肉体の復活→霊を降ろす』完全復活のプロセス2段階を短い時間ですが差し込むところにはとても丁寧さを感じます。

そして、エンディング曲の「ぼくは雨となり星となる/米良美一」が超いい曲で、何度もリピートして聴く時期があったくらい。

子役が大人の姿と結構似てて違和感ないのも個人的には評価してますね。

比奈子役の夏川結衣がケイトロータス(女性の総合格闘家)に似てる。

莎代里役の栗山千明が角度によっては吉成名高(男性の日本人ムエタイ選手)に似てる。

 

おわりに

と、いうことでホラー映画『死国』の悪口を事実陳列罪するでした。

書こう書こうと思って、2023年から書き始めましたが憎悪をアウトプットする体力消耗に肉体がついて行かずに3年も経ってしまいました。

放映当時はポケモンの映画しか見たことないハナタレのガキだったので、実際に映画館で見た人の反応をよく知らないです。

同時上映で『リング2』『死国』って、どっちも90分超えてるから腰も痛いし膀胱もキツいだろうとか、当時カップルで「きゃ〜怖い〜」とホラーをネタにイチャイチャをしに行った方々はどんな顔して見てたんだろうとかは気になるところです。

ぜひ、当時映画館で見たという方は感想を教えてください!